「歴史秘話ヒストリア」、津田梅子の回

3月に入ってから打ち合わせとか原稿とか、とてつもなく

忙しくて先週録画しておいた、ヒストリアを今日やっと見られた次第です。

ここ何回かのヒストリアのうち、今回の津田梅子特集はめちゃくちゃ

よかったなぁ。


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とても感動しました。



津田梅子は凄い人というイメージがあるのと、

津田塾といえば、よく千駄木の能楽堂とか

東体に行ってた頃、駅前にある

津田ビズネス専門学校の横を通ることがあって、

ビジネスじゃなくて発音にはビズネスのほうが

近いかもなぁ・・・とか思ってたくらい。



で、今回あらためて映像にして彼女の人生を振り返ると

色々なコトに驚かされました。



まず幕臣の娘として津田梅子は生まれ、父親の薦めで

わずか6歳でアメリカに渡ることになります。



tsuda.jpgアメリカに渡った女学生は

「乙女の日本史」でも書いたけど、

全員が旧幕臣とか、新政府の要人の娘では

なかったところに、まずは注目したいですね。






敗者として留まるのではなく、次の時代を切り開く存在として女性も・・・!

という意見を梅子の父はすでに持っていたようです。

しかし、アメリカから戻ってきた二十歳を目前とした

梅子を待ちかまえていたのは

たしかにスローガンとしての「新しい女性」はあっても、

全体としてみれば、みんなが想い描く女性の最終的な幸せのかたちは、

旧態依然とした「よい母」「かしこい妻」でしかなかったのです。



当時の二十歳は現在の三十歳くらいに相当するので、

要するに、理想はいいけど、世間的にあなた花嫁さんになることなく

終わっていいの? 的な問題を選択する瀬戸際ですね。

しかも梅子は英語しかしゃべれない状態で、

日本に「帰国」しています。

そんな彼女は言葉と同時に、自由なアメリカの女としての意識をもって

「帰国」しています。

番組ではそこまでは表現しませんでしたが、

女子教育という高い志をもっているのに、

そのために費やす時間を削ってまで

恋愛したい、日本の男性には出会いにくかった・・・と僕は考えます。



「文明開化」の後のほうが、女性の地位は下落し、

子供を産み、家事をする人くらいにしか

妻の役割が落ち込んでしまった家も多かったでしょう。



江戸時代みたいに共働きのパートナーとしてではなく、

殿様と下女くらいになってしまった明治の夫婦制度と

優遇される男という性にあぐらをかいた男性は梅子には

魅力的にはまったく見えなかったと思います。



梅子はどんなに小さくても、よい学校をつくって、

女性のための教育をしたいと

考えていました。

二十歳ごろから、華族女学校(夏目漱石の奥さん・鏡子とかも

出てるハズです)の英語の先生をはじめたりしますが、

けっきょく24歳ごろに退職、

アメリカに留学します。

その大学は性別によって学習内容を分けないという

現代では当たり前だけど、当時はまったく

出来ていなかったカリキュラムにそって

アメリカ中の女性たちが集まるところでした。

梅子は、カエルの卵の発生(どう細胞分裂していくか・・・とか)を

研究。理系女子だったんですね!



その後、アメリカ各地やヨーロッパに渡り、

ヘレン・ケラー(女性であり、さらに”三重苦”をかかえながら

大学進学をめざしていた)や、

晩年のナイチンゲールに出会っています。



こういう行動力、会ってみたい人に会いに行くという自由さは、どこか

龍馬みたいなところもありますね。



のちに誰かのつくった教育理念ではなく、

自分自身の教育観を据えた女性のための

ちいさな私塾をつくった梅子ですが、経営は厳しく、苦労を重ねます。

数少ない生徒も、暗記ではなく、

ディスカッションを取り入れたり(今でも日本人は苦手ですね)、

あまりに厳しい梅子の姿勢の前に学校を去る人がしばしばでした。

しかし、その中でも梅子に食らいついて

卒業を認められた学生が何人かいました。

(彼女たちの目の輝きは、すばらしくて、気圧されます)



その最初の卒業式で、梅子にあるプレゼントが渡されました。

それが「梅の花」という合唱曲だったのです(えぇ話や)



他にも梅子の教え子の女性がしゃべった内容を

録音したカセットテープの一節

梅子は「HAHAHAHA」と何かあるたびに、

「よい声」で朗らかに笑ったという所にも

彼女の厳しくも暖かい人柄を感じました。



教育・文化って、全体が平均的に恵まれるより、

少数精鋭でも、誠心誠意のえりぬきの教育がなされるほうが

よほど実りあるのかもしれません・・・。



いわゆる「津田塾」の門だけでも見てから

あの世に行きたいと願った梅子ですが

それは適わなかったそうで、残念でしたね。



彼女はたまたま一生独身でしたが、

女性の幸せをめぐる「ストーリー」って

明治のころと今の日本とでもあまり変化がない。

今でも最終的には(恋愛とか仕事とか色いろあったけど)

素敵なだんなさんに巡り会い、

二人の子が・・・的なまとまりかたをしてしまってたりします。



でもそういう誰がつくったかわからない幸せを

自分のゴールに簡単に据えてしまって

いいのでしょうか。



そう簡単には「恋愛とか仕事とか色いろあったけど」の部分と、

「素敵なだんなさんに巡り会い、二人の子が」の部分の

ブリッジは上手くはいかないと

思いますが。



トルストイは「アンナ・カレーニナ」で、幸せな家庭は

似てて不幸な家庭はそれぞれだ・・・

とかいってたけど、ホントは「幸せ」感こそ、

人それぞれなのだと思うのです。



個性とは「あなたとわたしの違い」であり、

それを前向きに認めてこそ、

日本の社会も成熟の域に入れるのだと思います。



今日はいい番組を見させてもらいました!





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by horiehiroki | 2011-03-09 02:29 | テレビ | Comments(0)