お江与通信(39)~大河ドラマ「江」
2011年 12月 05日の連続レビューです!
そして、第39回にして、わがブログ「橙通信」内の人気コンテンツだった「お江与通信」も終幕するのでございます。
「息子よ」はですね・・・前回から引きつづき、長男・竹千代(家光少年)の化粧をしつこく追求しておりました(笑
「母恋し」というテーマで落とし込んでたけど、ムリありすぎでつら・・・い。
家光さんは大人になっても化粧して女モノの着物で舞い踊ってたわけで、女装趣味の萌芽でええやないの(笑)
いや、ほんとに家光っちゃんのその手の趣味については、記録が残ってるんで、もう逃れようがないわけです。
でも、それが悪いというわけではない。
そんな性質を持つ子も武家の将軍になり、また、彼も立派にその勤めを果たしていた、なんて、いちばん太平の世のシンボルとなりうる存在だと思うけどなぁ。
それにお江ちゃんも自分も幼女時代からパッカパッカ馬に乗ってるわけで、「性はグラディエーションでございます!!」
とか言えばよかったのに・・・・・なーんて無責任なことを思いました(w
家康さんがついに亡くなる会でもあったけれど
ずいぶんと「いい人」に「丸く」なってしまっていてねー。先が短いのが分かって辛かったですねー。
そして、第46回「希望」(最終回)です。
予告編の時点で
「江、そなたは私の希望だ!!!」
とシャウトする秀忠さんとか
女の人生は戦だという母の言葉を
「わたくしにとっては、ヨロコビそのものでございます!! 」というふうにいってのける、お江ちゃんを見てたのですが。
どうも同時期にNHKドラマで見たような
「蝶々さん」みたいなドラマティックさが
足りない気がしまして。
最終回はハッピーであらねばならないという
法則に引きずられていたような気がします。
たしかに後味のよいラストではありましたが
(篤姫みたいに死んだりしないし)・・・
たとえば、今回は後水尾天皇に
和(マサと読ませていた)が、
なんと数百年ぶりの天皇の正妻・中宮として
嫁ぐことになりましたが、
これに対して後水尾天皇が実質的にいやがり、
輿入れを前にして、違う女官と恋仲になり
子どもまで儲けるという態度を示し、
それに秀忠が激怒し、輿入れを延期させるなどなど。
→本来、輿入れ「させていただく」側に立つ、秀忠がこのようなカタチで(感情的なまでの)異議を唱えることに、秀忠は実は「いい人」というより、江にとっても、かなーり気むずかしい一面のあった夫だったということがよくわかると思います。
江にも、一筋縄ではいかない心労と騒動があったのです。
これがスッポーンと抜けてしまっていた。
まぁ、ラスト1,2回の江は、ひじょうに落ち着いて
ゆっくりと穏やかにしゃべり(「甘味おなご」卒業!!)
「(為政者の妻である)自分自身が平安でなければ、太平の世はおとずれない」という事実に気付いた様子したが・・・
ぼくが一番きになったのが、
まったく描かれもしない忠長さんの「その後」
ですねぇ。
本当は忠長さんは家光さん、そして秀忠さんの強い意向で蟄居させられたり、最後は自害に追い込まれている。
ものすごく血なまぐさい抗争が続いたのです。
秀忠さんの隠し子こと保科正之については
・・・まぁ、ドラマとしては
ああいう表現でよかったとはおもうし、
あれをきっかけに大奥という制度を作るようになったともっていくのは(史実では確認できないけど)、自然でなるほど、という感じはしましたね。
実際、お江ちゃんは保科を知らなかった、と
されています。というか、そういう風にいわれています。
が、いずれにせよ鷹狩りに出かけた秀忠が
何度も保科の母の元を訪れたりしているわけで
「何かが自分に隠されていること」を
気付かないワケがないでしょう・・・が。
家光(女装)のヨメとして、鷹司家から嫁いできた孝子さんも一瞬映ってましたが、二人は不仲。
しかも、いえみっちゃんは孝子さんが
大奥から飛び出ていっても
追いかけてきてもくれなかった・・・w
このあたりのエトセトラについては、
ぼくの新書「愛と夜の日本史スキャンダル」を
ご覧ください(笑
ほかにも、初こと常高院が、いつまでたっても
まっっったく(菓子をむさぼりくっていたころと)
変わらないビジュアルで、最終回を迎えてしまったことなどなどにも、軽い違和感を覚えつつも、
「江」は「龍馬伝」とは対比的なまでに
明るく、きれいな映像(と内容)を貫いたドラマでした。
戦場よりも室内の描写に心をくだいた・・・という
演出意図のすべてが成功したとは
思えない場面もありましたが、
女性にとっての魅力的な何かを背負わされた
「男子」がチラホラと出てくるあたり、
また困ったお子様に主人公・江がリアルに
難儀するあたりには、女性脚本家としての
特質が出ていたのではなかったでしょうか。
なんだかんだツッコミを入れつつも
(これは病気ですw)
1年間、一視聴者として
「江」には多いに楽しませていただきました。
関係者のみなさま、お疲れさまです!
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