追悼:グスタフ・レオンハルト氏
2012年 01月 18日「古楽」の旗手にして
「古楽」の祖といってもよい
グスタフ・レオンハルト氏(1928年5月30日 - 2012年1月16日)が逝去されました
「古楽」という音楽ジャンルは、「クラシック音楽」という括りの中にあります。
その名の通り、ある時代の音楽を
その時代の楽器、そしてその時代の演奏の音楽精神で演奏する・・・というものです。
その古楽というジャンルを現代的な意味で確立したのが若き日のグスタフ・レオンハルト氏でした。
彼はチェンバロとオルガンの奏者、そして
指揮者として多くの録音を残しました。
この前、演奏活動を引退した・・・とのことでしたが
まさかこんなに早くに亡くなってしまうとは。
「シャコンヌ」、ジャック・デュフリ(作曲)
この曲でした。
この曲は、ぼくがまだ十代だったころ、つまり古楽など認めない後期ロマン派の直系の後裔であった頃、クラヴサン(=簡単に言えばチェンバロをフランス語であらわした言葉)音楽をはじめて美しいなぁと思った曲だったんですよね。
ひとくちにクラシックといっても、楽器は進化しますし、カタチも音もかわります。構造的にはまったく別モノですが、チェンバロはピアノの祖先といわれます。
バッハはチェンバロのために書いても、それより進化したピアノでその音楽を弾いたほうがバッハは喜ぶはずだ・・・という進化論的な考え方では抜け落ちるナニか・・・それはおうおうにして甘美さ(=デリス)だと思うんですね。
バッハの音楽はともかく、さきほどの動画のジャック・デュフリというルイ15世時代のフランスの音楽はどうでしょうか。
音域的、テクニック的にはピアノでも弾くことはできても、それは音楽として好ましいカタチで響くのでしょうか?
こういう音楽の進化史、そのメインストリームからは離れた珠玉を拾いあつめにいくのが、古楽の音楽家たちの指名であり、それを先導したのが、稀有なる演奏家にして、熱心な古楽器コレクターでもあるレオンハルト氏だったとぼくは思います。
十代の自分はそこまで考えていたわけではないでしょうね。
しかし、そういうことに気づき始めた・・・それを教えてくれたのがレオンハルトさんとその音楽でした。
あれから15年。
思えば長い付き合いでした、レオンハルトさん。
もう伝説の中の人物になってしまわれた。
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