平清盛(24)~もののけ対決☆聖子一人勝ち
2012年 08月 22日_____________
◇◇◇堀江宏樹の新刊もよろしくおねがいしまーす◇◇◇
百人一首 うたもゑ
(日本じゃ)世界三大美人なんていわれてる小野小町。でもずっとモテる、恋をし続けるということは、あるいみ「たったひとりの誰か」に出逢えてないってことなんです。平安時代、百人一首に収められた歌人たちの歌をベースに展開する、絵空事ではないリアルにして美麗な恋愛絵巻まんがですー。
藩擬人化まんが 葵学園
大河ドラマでもそうですけど、江戸時代はなぜ「ああいう社会」なのか? なんで現在でも県民性は「ああいう風」に存在してるのか? …みたいなことが漫画+文でザックリと理解できます☆
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今回の「百日の太政大臣(第32回)」の鑑賞ポイントは二つです。
第一は
もののけの血をひく二人の
静かにして、おアツいバトル
さすが・・・やんちゃな上皇様。おめんがおちゃめです
そして腹黒いセリフをいろっぽくウィスパーしつつ、
ものすごく優雅な手つきで、
おヒモを外された所にも感銘いたしました
セクシー上皇様でした
まぁ・・・色んなことをたくらみ、仕組んで、
土壇場でその相手にわざわざ白状しちゃうところが
いかにも、おぼっちゃんだなっておもいます。
今回の脚本でいうと。本物はもっと腹黒そう。
上皇「亡き摂政の遺児と未亡人に膨大な荘園を相続させたのは、わたしの入れ知恵である。
滋子との間に生まれた皇子をもり立てるには経済力が要るからな」
清盛「つまり上皇様の手の平の上で転がされていたということですか?!(私はただの財布でございますか!!) 」
・・・と仲睦まじく(?)囁きあってるところ、摂関家の方がたが、平家の用意した五節の舞姫を隠すという器のちいさな嫌がらせに出たため、急遽、松田聖子ディナーショー2012が始まるというね。
それで、空気が一気にかわり、清盛さんが勢いづいて
「この世、ひろしといえども、上皇様の手の上でころがされているのは清盛ひとりでござる
上皇様の手の平の乗り心地を味わい尽くしますぞ」
とかピースな愛のバイブスでポジティブな感じなことを言い出すので、上皇様はちょっと涙目で黙ってしまわれた(LOOSER)というお話。
五節の舞姫 (ごせちのまいひめ)について説明しとくと、秋・11月の宮中の記念行事です。人気行事です。
ごせち‐の‐まいひめ【五節の舞姫】
五節に舞う舞姫。新嘗祭では四人で、二人(あるいは三人)は公卿の家、二人(あるいは一人)は国司の家から出す。
広辞苑
この国司の家から出す、というところ、おぼえておいてください!
百人一首でも
「天津風 雲の通い路ふきとじよ 乙女の姿 しばし留めん」(僧正遍照)
という坊さんの歌にも歌われているほど、朝廷関係者の注目を集めたのですね。
なぜかというと、御簾の向こうにいるはずのお姫様が、この日ばかりは、そこから出てきて、舞い踊るという。
たとえば在原業平の永遠の恋人だったとされる藤原高子(ふじわらのたかいこ)なども、このイベントに選ばれて出ております。そして帝に入内している。
・・・つまり、品評会みたいなもんなんですね。
本来は未婚の若いお嬢様方が呼ばれる。いえ、聖子さんも若いですけど。
平安時代も下れば下るほど、高貴な女性が姿を丸見えにして踊るのはちょっと×ということで、今度は経済力のある中流貴族の美貌の娘が選ばれ、主に貴人の側室候補として名乗りをあげる会となりました。
源氏物語にも、
光源氏の乳母子の惟光、その彼の娘が舞姫として出番を待ってる時に、若くてまだ女性をくどくのに不慣れな夕霧(光源氏の嫡男)から、(まったくの初対面なのに)「あなたがずっと好きでした」などと不審な告白をされ、怪訝にスルーするというイタいシーンがございました。はい。
二人は異母兄弟…なんかじゃないですね。
白河ー(堀河 ※ドラマに登場せず)ー鳥羽ー後白河
白河ー清盛
そうか、白河タフマンの息子扱いだったんですね。
曾孫と息子の「争い」か。
第二回目でフワーとか叫んで崩御なさったタフマン法皇様のお元気さがひときわ、いまでも、印象的です。
第2のポイントは、摂関家のみなさまの奮闘です
最近の清盛、開き直ったかのように、またもやどしどし登場人物を増やしてきました。しかも、2,3回しか登場しない系の。
さらにマイナーとされる摂関家の人々などなど。ちゃんと名出してきてる態度は真摯でよろしいかと思います。
知らなくても、あとで知りたければ調べて知ろうと思えばいいし、「悪い公家」として流して見ても、別にいいかと思います。わかんなくてもドラマとしては見られるように作ってあるし。
歴史のドラマに関係する人間やイベントをはしょらず、ちゃんと登場させる。そういうところは立派だと思います。というか、つひに一般的な視聴率を狙うより、ニッチなところにくいついてくるファンにサービスするほうがトクだという判断がなされたのかもしれません。
藤原(近衛)基実さん。実はこのとき24歳・・・
そう、24歳なのに・・・とかいうところにくらいついてくる人間をNHKは・・・期待してるわけがない。
えーと清盛にやたらと親切なこの方ですが、出世するいっぽうの彼の後ろ姿を複雑な表情で見守ります。
ーーー今日はきちんとお化粧をなさっておられますね(笑
そこに、彼の兄弟があゆみよってきます。
「お仲のよろしいことで!」
おばちゃんか。
「これは亡き父上の御遺志であるぞ」
「亡き父上は平家のイヌになれとまではいっておられませぬ」
こんなにたのしそうに演じる細川茂樹は初めてみた。
後ろが藤原(九条)兼実。この人に藤原定家は仕えておりました。
ーーー最近、三谷幸喜の匂いのするひとが、清盛に増えてきましたですね。
兼実さんは、日記でゆうめいです。「玉葉」という。
もともと母親の身分が低かったんですが、そうとう辣腕の政治家だったし性格も強い。厚かましい。法然のおまじないで元気になったり、たとえば式子内親王の財産に手を出したり、まぁ、いろいろなことが分かります。
ところが、基実さんが24歳(しつこい?)で亡くなってしまうのです。
残されたのが清盛の娘・盛子(もりこ または せいし)
この時11歳かそこらです。それで子ども、それも男児を生んでるってグッジョブすぎる。
えらく色の黒いお子様・・・失敬。
彼らを支えるという名目で、摂関家の嫡流が相続すべき財産を
清盛さんが管理することになった・・・というのが今回の政治的な大きなポイント。
このクニツナという人は、とてもとてもとても食わせ者の御方です。どうじにいわゆるシンデレラボーイかと。
低い身分の公家から、何度も国司を経験、財力をたくわえ、摂関家の家司…つまり執事みたいなものとなり、都で成り上がりました。
※なお、この相続問題について、藤原兼実は激怒していました。
また、この色の黒いお子さんが、都の近衛大通りなるところにおおきなお屋敷をかまえましてこれがきっかけで近衛家のお名前につながったと。
まぁ、だいたいそういう屋敷の場所でいわゆる名字は出来てますね。名字より、姓が大事だった時代の話ですから。
清盛の正室・時子の子だったとかもいわれますが、くわしくは不詳
清盛さんは子だくさんです。
なお、摂政関白の妻の尊称が北政所です。秀吉の妻を思いだす名称ですが、盛子も北政所と呼ばれていました。ついでにいうと、黄門。こちらは中納言の異名(中国風名称)です。
そして、都からとおーーーく離れた伊豆では、八重姫とデキちゃった頼朝に、赤ちゃんまでデキちゃって、たいへんなことがおきてました。
怒る竜雷太。
子どもをつれていって、殺してしまうのです。
頼朝さん悲憤
この時、実に藤九朗演じるところの塚本高史さんと
岡田将生さんがいい演技を見せました。
藤九朗は頼朝のことを
誰よりもわかってるんですね。
なお、八重姫のその後は不明・・・だそうです。