平清盛(34)~重盛さん

ここ数週間の「清盛」の主役は重盛を演じる窪田正孝さんでした。
とくに重盛が亡くなった今回、主役であるはずのマツケン清盛、かんぜんに二人の俳優に喰われてしまってましたねー。

(画像は先週の「孝と忠のはざまで」より)

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もちろん窪田さんと、松田翔太さんのことです。
マツケンさんの俳優としての資質ということではなく、台本で与えられた役割が、ということです。

今年の清盛は、主役が不在の時期が多いですね…。長時間、出てるのに「空気」みたいなかんじ。ラノベの主人公の「オレ」みたいな。空気なくては、誰ひとり生きられないんですけども。




さて、まずは、後白河さん演じる松田翔太のアクの強い演技について。

忠臣すら踏み台にして、欲望を叶えようとする、とか、彼の今回の謎めいた言動について、まとめて書くのはたやすいけど、それはポエムを要約するような行為です。つまり、無意味。

しかし、(少なくとも、あのドラマの)後白河はどんな困難にブチあたろうと、自分がやらなければいけない。という使命に燃えてるところはハズしてはならんでしょう。


彼は、ある意味、一昔前の清盛さんと同じです。
でも後白河の使命は、平家の「国作り」を阻止すること。


瀕死の忠臣の遺言を聞くかどうかを決めるため、(どえらい頭脳ゲームである)双六をさせる、というのは
まぁ、ドラマゆえのやりすぎな演出かもしれないけど、あれは、後白河さんいっぱしの誠意なんだろな、とも思いました。

後白河さんの目のぎらつきは、尋常ではない。

一方、「平家の行く末をみまもってくれ」と遺言しようとして、裏切られる重盛は、ホントにイイ人。

予定調和の中でのみ、知性と責任感をいかし、才能を発揮できる人として描かれてます。
彼の考える世界は美しくあるべきものなんだろう、と。
しかし、現実はそんな彼の理想を凌駕してしまっている。それに重盛さんは気づけていないというね。

後白河も「君」としては「臣」の最後の頼み、聞いてやりたいでしょう。
でもそれは国をあずかる「君」として、出来ないんです。

後白河が重盛に(トウトツに)言い捨てた「ひとりで生まれ、ひとりでいきて、死ぬ」という謎なセリフ、哄笑、すべては清盛親子ではなく、自分に言い聞かせてる言葉なんだろうなぁと。

もはや善悪のむこう岸い生きる、ソコの知れぬ男(というか物の怪)を演じてる松田翔太、凄い俳優になってきました。

その後の重盛は「とく死なばや(早く死にたい)」といったけれど、うまいこと繋がりますね。
自分の人生はなんだったのかと。もう見たくない。聞きたくない。というね。

で、この重盛という人を演じる窪田正孝さんという俳優さんについてはもの凄くビックリさせられました。
演技をするというより、重盛さんとして完全に生きているところでした。
彼のすごいところは、人のセリフを、セリフではなく、その人物の言葉として聞いて、それを受けて、自分の演技をしていくところ。涙の流れるタイミングとか、声とか、鬼気迫るまでに凄いです。録画してるひとは見直してください。

とにかく声にヴァリエーションがある人は期待大でござる。ちょっと違うけど、登場する度に声(と髪が)違う夏木マリさんとかもそういうタイプの俳優(女優)さんですしね。


ここ2,3週間の清盛は、歴史ファンとか、大河ファンだけでなく、窪田さんの熱演ゆえに、すべてのドラマのファンが見るべき作品になってました。




NHKの下流の宴っていうドラマで窪田さんははじめて見た気がしますな。

”原由美子(黒木瞳)の悩みは、息子・翔(窪田正孝)が高校中退後、フリーターを続けていること。その翔が、
年上のフリーター・宮城珠緒(美波)と結婚すると言いだす。医者の家に生まれ、母・満津枝(野際陽子)から厳しく育てられた由美子。福原家「下流転落」の危機を夫・健治(渡辺いっけい)や娘・可奈(加藤夏希)に訴えるが相手にされない。由美子は、幼なじみで受験のカリスマの島田(遠藤憲一)に思い切って会いに行く”

・・・という内容なんだけど、このショウちゃんを演じてたときの窪田さんは、ソコが見えないほど不透明な心をもった若い子を演じてました。今回は一転、まったく分かりやすい内面をかかえた純粋な、悪くいえば鈍な男を熱演してます。


(”純”粋と”鈍”感って似てるのに、まったく意味が違うんですね)

この人はビジュアル自体は(重盛役として、思った以上におじ様髭が似合いましたが)、そんなに変わらない気がするけど、声やら存在の印象が激変する。
もの凄く才能のある役者です。今後、絶対にすごい俳優になると思いました。


今回の清盛は、ラストに祇園の女御の霊が出てきました。

祇園の女御は、松田聖子がこれまで演じてた乙前という白拍子の「前身」です。白髪もなくなってたし。

まぁ・・・文芸映画みたいな登場だったので、何?って感じの人いたかもしれませんが、あれ、霊です。

清盛はそれに気付いていない。あるいは気付いてるけど、権力欲にぼけてしまって、なにも見えてない。
彼女の「そこからの眺めは?」という問いかけの意味もわかってない。


ラスト数秒の真っ暗闇、あれは恐ろしかったなー。



・・・・・と書くのですけど、必ずしも毎週見てない人にはよく分かんない、ってことはあるかなーとも
思いました。

文芸映画みたいなんですよね、キヨモリって。

ただし、理解しやすければ、作品のクオリティが高いというものでは、ぜんぜん違うと思います。
今回の清盛の最大の強みであり、弱みでもあるのは、(喩えですが)人物と同じ場にいて、同じ空気を吸えていなければ、ピンとこない部分にこそおもしろみが凝縮されてるんだな、と。
今回はまさにその傾向がきわまった回でした。
いいんじゃないかと思います。
僕は好きです。



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大河ドラマでもそうですけど、江戸時代はなぜ「ああいう社会」なのか? なんで現在でも県民性は「ああいう風」に存在してるのか? …みたいなことが漫画+文でザックリと理解できます☆

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by horiehiroki | 2012-11-12 05:25 | 大河ドラマ | Comments(0)