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NHKバレエの饗宴2013

毎年初夏~夏にかけて、バレエの放送がたくさんあるんですが
今年は少ない気がします。
それでも久しぶり(?)に地上波でバレエ番組がありまして、それがNHKバレエの饗宴2013でした。
内容はバレエ版・紅白歌合・・・じゃなくて、ニューイヤーオペラコンサートのバレエ版みたいな感じですかねー。


■番組の内容


「コンチェルト」小林紀子バレエ・シアター、ピアノ:菊池洋子

「ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ」橋本清香,木本全優

「春の祭典」東京バレエ団

「ラプソディ」吉田都,ロバート・テューズリー

「コッペリア」東京シティ・バレエ団

「白鳥の湖」中村祥子,ヴィスラウ・デュデック

みたいな取り合わせで、ダンサーだけでなくてもピアニストの菊池洋子さんに出演してもらってるところとか人選になかなかの炯眼が光ります。

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菊池さんはドレスのセンスが素敵です


菊池さんはすでに何枚もCDをリリースしておられますが、たとえばデビュー盤のモーツァルトの録音などから想像してると、まったくレベルがちがう、それは深く豊かな音楽性の持ち主に現在はなっておられます。先日、実演に接しましたが、次世代の音楽史を担うピアニストになられるのでは、と期待しています。


で、東京バレエ団は当然のようにベジャールやるんだけど、これまでキレイ、キレイ、キレイでしょう?な、「いかにもバレエな世界」の流れの中にとつぜん「春の祭典」をブチこんでこまれても・・・とか思いました(笑
いや、熱演なんだけど、明らかに異質。

ネットでも一人歩きしてますよね。


ベージュの衣裳を全裸?!とビックリしたとか(→以前の紅白でもこういうネタがあった)、
アレが透けてるとか、
明らかにセックスを模した振り付けとか。


ま、たしかに世間の常識でいうと、「春祭」はやりすぎ感ただよう振り付けだと思う(w
劇場でみたら、異化効果で、アレも爆発的なエネルギー!とかに脳内変換されるんだけど。
でもテレビでみたら、やっぱり「透けてます…」とか思ったのも事実(w

でもさー、そういう素朴すぎる感想を聞くと、バレエ自体が冒涜されたような気になるから、はじめてベジャール作品を見るヒトにも「あっ、モダンバレエもいいなあ!」って素直に思ってもらえるような作品をお願いしたかった。

ベジャールでももう少し違うのやってほしかったなー。

ソレで、今回、この記事を書こうと思ったのは、最近の日本人ダンサーの活躍について、などなどについて考えたからでございます。

吉田都さんはぼくが色々書かなくても、ほんとに別格。

振り付けを演じる「だけ」の、彼女自身の言葉でいえば「台詞で言えば棒読み(みたいな踊り)」とはまったくちがう、演技が出来る人なんだけど、確実に日本人(&アジア人)の踊りの範疇には嵌らないな、とも感じました。

たとえば今回はロバート・テューズリーとの「ラプソディ」でした。しかし、某動画サイトで拝見できる「ラプソディ」はロイヤルバレエでの、佐々木陽平さんとのデュオだったんですよね

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つくづくパートナーによって女性のダンスって「違い」が出ますよな

佐々木氏も優れた、美しいダンサーだったとは思うんだけど、やっぱり都さんの勢いに翻弄されてましたわ。都さんを踊らせられてない。

今回のNHKバレエの饗宴でも顕著だったみたいに、アジア系の男性ダンサーってやっぱり華奢で細い。

女性はちょうどいい細さなんだろうけど、男性の場合・・・それも王子さまに代表されるクラシックバレエの男性主役となるには、自分がひとりで踊ってる時間の他に、女性主役をリフトしたり、サポートしたりしてうまく踊らせるだけの筋力(これがかなりの負担になるとおもう)が必要になってくる。
これが難しいんだろうなー・・・という気がするわけです。
熊川さんにつづく国際的な名声をもつ、主役級の日本人(ひいてはアジア系)男性ダンサーってあんまり知らないんですけどね。それには体力的な問題が非常にからまってる観があります。。

前にサンフランシスコのバレエを見た時も、いろんなエスニシティ、ひらたくいえば人種、肌の色の人々が活躍してて凄いとおもったけれど、たとえば我々の中で、黒い肌をもつ白鳥や王子さまが完全にOKということになれば、バレエダンサーの勢力地図ってかなり変わるでしょう・・・。

もはやそれは人種差別的なことではなく、TPOのセンスだと。
たとえば、白人の実力派ダンサーでも「白鳥」でいうなら魔王ロットバルトしかできないのはただの個性派。主役の王子さまが出来てこその主役級ダンサー、みたいな下りが山岸涼子の漫画「アラベスク」にも出てきたと思います。

個性の問題。

現代日本で、ケーキやパフェをたのんだり、ピンクのTシャツを若い男性が着ていても後ろ指をさされなくなくなったのと同じ、感性の変化さえあれば、ホントにいろんなダンサーが生まれてくるでしょうね。


前に「クロワッサン」という雑誌の中で、ファーストポジションって映画について(文字数のかげんでホントに少しだけ)書いたのですが。
色んな肌の色のダンサー志望が登場するんだけど、彼らの中からプロのダンサーが登場し始めるときにはそのTPOのセンスに変化が生まれてきてるかもしれないなーって思ってました。
そもそも身長が高すぎると(相手の男性ダンサーとの釣り合いがあって)、バレリーナにはなれないなんて僕らのこどものころはよく聞きましたが、バレリーナの巨大化は最近進む一方です。
今回のラストに出てきた中村祥子さん(ベルリン国立バレエ団などで演技)も、かなりの高身長でした。
ただ、彼女の場合、その恵まれたプロポーション、長い手足をつかって、小さい華奢なだけのバレリーナには出来ない表現をするんですよねー。


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画像はこちらから拝借


黒鳥と王子のパ・ド・ドゥを演じてたんですけど、その時の手足の動きは、大きな鳥の羽ばたきを感じさせるものでした。
・・・まぁ、欲をいえばポーズからポーズに移動していくときの安定感がひじょーに乏しいとはおもうんだけど、ピタッと止まるべきところはとまれる筋肉の強さもあるし、たとえばアラベスクとか、そういうポーズが人一倍にキレイなんですよね。
今回初めて名前をしったけど、今後期待の女性だな、と思いました。



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百人一首 うたもゑ

(日本じゃ)世界三大美人なんていわれてる小野小町。でもずっとモテる、恋をし続けるということは、あるいみ「たったひとりの誰か」に出逢えてないってことなんです。平安時代、百人一首に収められた歌人たちの歌をベースに展開する、絵空事ではないリアルにして美麗な恋愛絵巻まんがですー。

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大河ドラマでもそうですけど、江戸時代はなぜ「ああいう社会」なのか? なんで現在でも県民性は「ああいう風」に存在してるのか? …みたいなことが漫画+文でザックリと理解できます☆

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by horiehiroki | 2013-05-23 01:31 | 観劇