読書脳 ぼくの深読み 300冊の記録

立花隆さんの「読書脳 ぼくの深読み 300冊の記録」がおもしろいです。

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「週刊文春」での書評連載をまとめたシリーズものの一冊なんだけれど、ただの書評コラムの限界を超えて、色んなジャンルの専門書の優れたダイジェストになっています。

で、本書の中でも触れられており、ぼくが特に興味深く感じたテーマがあります。
それは本を熟読している時の脳の動きは、インターネットで調べ物をしている時の脳の動きとまったく違う云々ということで、「ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること」という邦題の翻訳書で触れられているテーマなんですね。立花氏いわく、この本の原題は「浅はかな人々」というような感じで、日本語版はタイトルからして、卑俗なウケ狙い、大失敗してるのだそうです。

さて。
本という形態のメディアを熟読するときにだけ使われ、鍛えられる脳の部分があるんだそうですよ。インターネットを見ている時にはまったく機能しない部位だそうです。



確かに現代のようなネット全盛時代って、情報がインフレーションを起こしている=情報がどんなものでも基本的に気軽に手に入りすぎるから、逆にだれも調べなくなってしまった。それこそ、ダイジェスト(まとめ)だけをよんで、すべて理解した気になっている→数行以上のまとまった文字列も読めなければ、理解できないというレベルの「バカ」まで、しらずしらずのうちに増加。それはネットしかやっていないから。
脳の認識能力・機能低下に由来してるのかもよ、

というような論理の流れ。これまで考えたコトのないひとでも、なんとなくですが、わかりますよね。

さらにここで、みなさんに紹介したいのが次の雑学というか、統計です。

多く稼く人ほど、多く読書しているという記事。
何年も前からネット上でよく見ますよね。

20-30代の日本のビジネスパーソンの一ヶ月の平均読書冊数は1冊未満・・・・・・どころか実際は限りなく0に近い数値(1ヶ月あたり、0.26冊!)。それが、”30代で年収3000万円の人は1カ月間で平均9.88冊”だとかなんとか。

ここで注目したいのは、よく稼ぐ人=優れた人。頭のいい人だ、と仮定すると、
「優れた人間(頭のいい人)はたくさん本を読む」という、おなじみの格言がうかびあがってきます。


でもね、じゃあ
「本をたくさん読めば、優れた人間になれる」というと・・・・失礼ながら、微妙に無理な気がするんです。
学校で教えてることと違いますが。

ようするに、先ほど触れたように、優れた、頭の良い人間は、インターネットで調べ物をしたり、そこで「まとめ」を読んでも、それが第一歩にしか過ぎないということをわかっている。もしくは、そんな「まとめ」の情報では物足りない何かを感じるだけの知的な要素がある・・・・・ということなんだとぼくは思うのです。

つまり、それができるほど、頭のリソースが多い=優れた、頭の良い人間 

ってことなんですね。



たとえば、何人かの新人さんがはじめてトライする、困難な作業に取り組んだとします。誰でも最初は時間がかかります。ところが、同じようなことを繰り返していると、明らかに作業が早くできるようになる人と、そうでない人がハッキリ分かれてくるはずです。早く馴れてしまった人には余裕がうまれ、その余裕時間をつかって、まったく別の活動をしてみるなり、その作業の本質的な部分を深く掘り下げるなり、いろんなことができうるんです。

ただボケーっとインターネットを見ているだけで、「何もしない」、という選択肢もあるけれど。

この段階の行動で、その人が本当に優秀かどうか、分けられるんだと思います。

液晶画面で読むだけでコト足りてしまう種類の本にしか電子書籍では人気がないのに象徴されてるように、各テーマを掘り下げた専門書に近ければ近いほど、やはり紙の本を熟読する、つまり「読書脳」を働かせなければ、知的にもう一段高いレベルにはいけない、というコトなんだろう、と。


余談ですが・・・
稼げる人は読書するだけでなく、朝の時間を無駄にもしていない、あるいは筋トレしている。・・・というようなお馴染みの統計、ありますよね。ここもポイントは一つです。

リソースが大きな人間=優秀な人ほど、いかなるときでも頭が比較的クリアな時間が多くもてるということ。
そして、次から次へと課題を回していくことができるし、簡単に疲弊なんてしない・・・ってことなんだと思うのです。

目の前のことで、永遠にワタワタバタバタしっぱなしの人と、目の前を離れた部分にまで思考・行動ができる人の違いはあきらかでしょうね。インターネットは前者でもそれなりの知識を与えてくれる重要なツールだと思いますよ。インターネットのおかげで、みんなが標準的にある程度以上の情報収集をして、作業にいかせるようになった。でも、本当はそこからこそが勝負どころ。


難しいですけどね。

知能は使えば使うほど、鍛えられるそうなので、今、できていなくても意識しつづけることで、なんらかの成長があるだろうということは思います。

今回お話したことは、MAKEPOなどでインターネット時代の書籍ビジネスについて書かせてもらったとき以来、ぼくの思考テーマの一つなのですが、紙書籍(電子書籍ではなく)とインターネットって近い将来、手を結びあう時代が来る気がしています・・・。
by horiehiroki | 2014-12-12 19:48 | 読書 | Comments(0)