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1Q84

ここ10日ほどかけて、主に読んでたのは、村上春樹の「1Q84」です。



629a93a9.jpeg ※ちなみに第二巻、「金枝篇」(フレイザー)が出てきた部分に付箋貼ってある・・・んだけど見えますかね?? あそこはおもしろかった・・・。

しっっかし、帯の文言が超ふるってる。第二巻なんて(たぶん一番面白いのに)

背表紙の文言が、「最新書き下ろし長編小説」って・・・

編集さん、も、もうすこしがんばって







この作品、えらい売れたみたいだけど、あまり周囲で読んだとか、感想を聞かれることが

なかった・・・・というのが正直なイメージの作品でした、が、

僕としては面白かったです。素直にいって。



で、これらの3巻がなぜ自分の手元にあるかといえば、


やや話がながくなりますが、



「乙女の日本史 文学編」の近代文学は、最初、「1Q84」で終わると

いいなーとか思ってたんです







 

だけど(ホントにただのイメイヂ)

参考書籍として、実業~から

送られてきた合計1500ページの3冊の本をチラチラ見ていて

やめました。



1巻の半分までざっくり読んだ時点で、あーこれはこれまでの村上春樹の

作品の系列とは、違う系列の話だなー・・・ってピンと来たわけです。

新機軸だったですね。



 ホントに肌触りみたいなもんなんですが、

村上作品って、
羊男に代表されるように、

メタファー的なもの(象徴的なもの、概念的なもの)が登場人物のカタチをして堂々と

登場してきて、そのアヤシイ、ふしぎちゃんな空気感をあえて楽しむ、とか



「やれやれ」と僕は言った。



とかそういう独特の節回しですね、それらを愛好してるファン多いような気がします。

(それが鼻につく人もいるでしょうな)



しかし本作では、ホントに

それらがでてきません(比・これまでの村上作品・・・のイメージ)

1巻の終りになって、ようやく存在が伺える程度。

これは自分にはビックリでした。



かといって、村上作品が、フツーの文学の路線上に来たかというと、

そうでもない。



最初、1Q84を「アイキュー84」とか読んでた自分ですが(←「I」じゃなくて「1」です。

実際は、1984年を生きる二人の男女(おおむね麗しいお二人)が

1Q84(イチキューハチヨン)という奇妙なパラレルワールドに入り込む、というお話です。



シンプルな表面の裏側はすこぶる複雑にからみあってる・・・という

ような感じの展開なので(とつぜん執拗な性描写が・・・ ってそれは関係ないか)

ドラマティックかどうかわからないけれど、ぐいぐい読ませるだけの

チカラはあります。



イメージに富んでるから映像的といってもよい。




しかし、この本を読んでいて

自分の脳裏に浮んでくる映像って、全部、アニメーションでした。







これは一体何を意味してるのかというと、





これまでの村上作品みたいにメタファーの中に埋没(あえていうけど)してるんじゃないけど

フツーの文学みたいに現実そのものについて語る作品でもない。

不思議な立ち位置を固持しています。



そして、その不思議な感覚を自分はアニメっぽいとかゲームっぽいとか思ってしまったようです。



ただし、乙女の~でも触れたみたいに

過去の村上作品の必須要素(?)である

病女(=病んでる女)と、ぬる男(=微温男)という

カップリング・・・・・・・の残響というか、片鱗については

今作にもありましたけどね。





以下、短いねたバレです。





あそこまで言葉を尽くし、ページを文字で埋めながら、本作には

ミニマリズム的な印象さえもちました。



特異な構造をもってるとも思いました。




第三巻になって、物語の展開のスピードはがくんとおち、

ドラマティックな出来事は(案外)なくなってます。



ーーーフツーなら逆だと思うんですよね。



天吾と青豆の間に牛河という

第三の”主人公”にして、第三の視点が入りこんできたところ、とか。



この工夫によって、一見シンプルな事件の裏側の複雑さが

立体的に描けてる・・・・・・んですけども、正直、それまでの二巻にくらべて

第三巻は読むスピード、そうとう落ちてました・・・。



ラストは冥界から妻をつれて戻ろうとするオルフェウス とか、「古事記」で死んだ妻をつれて

地上に帰ろうとしたイザナギ の神話的イメージですが、あえて

女性にその立場を、になわせる・・・というのが、2010的なんでしょうね。



それにしても人物がアニメっぽい。



「ふかえり」なんて、直前まで見てた、友だちが教えてくれたアニメの登場人物のイメージで読んでしまいましたもん →
銀(イン)(『DAKER THAN BLACK 黒の契約者』より)



いや、そうしないと、まったく想像できないんですね、存在自体を。





ふかえり以外でも、他の登場人物も、実際の俳優の声というより、上手い声優さん的な声でしか台詞を

思い浮かべられなかった。






ねたバレおわり。








・・・そもそも、ヒロインの青豆を読んでいて感じる不思議さは

これまで経験したことのないものでした。



彼女は設定上は、れっきとした女性ですけども、

文学的に表現するなら「ペニスのない男」というべきです。



スポーツマンである村上さんの身体感覚が男性主人公である

天吾よりも、なぜだかリアルに反映されてるのには驚きました・・・。



実際、青豆さんはものすごい(中身が)麗人キャラというか、

端的にいって「男前」というか。



天吾よりも情熱を傾けて、村上さんが表現してると僕には思われたのは

女性・青豆(しかも、レズビアンではないにせよ

百合っ気アリ)でしたけども、それは何を意味してたんだろう??

意味しようとしていたんだろう・・・



というのが一貫しての感覚でした。





しかし、この二人、ほんとにやらかしてくれますよ。



村上作品読んで、ちょっとにせよ目が潤んだのはこの本が初めてでした。
by horiehiroki | 2010-09-07 05:11 | 読書