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国性爺合戦@国立劇場

今日は家族で国立劇場まで

「国性爺合戦」を見にいってきました。



kokusen.jpg先月も吉右衛門主演で「将軍江戸を去る」などを見に行ったんだけど

いそがしくてレビュー書き損じちゃったなぁ・・・

さて「国性爺」。何年か前に歌舞伎座でも見たことあるけど

スジ、けっこう忘れてました(笑















内容は…日本人と大明帝国の家臣のハーフである

和藤内(歴史的には、台湾で活躍した

日本人と中国人のハーフ・鄭成功がモデル)と

彼の家族が中国大陸にわたり、

そこで明帝国をのっとった

「ダッタン王(モンゴル人、清のこと)」の手下たちと

バトルする

というこの時期にはどえらい話です。










一見、荒唐無稽なんだけどやはりそれでも

近松門左衛門の原作なんで、どちらを選んでも地獄という

ギリシア悲劇以上にエグい選択肢に巻き込まれていきます。



ドラマとしての見所は第四幕に集中している気がしました

特に最終幕(第四幕)での黒御簾(音楽)、義太夫、そして

役者のすべてのアンサンブルがぴったりとあった神懸り的なハーモニー。



これに呑まれてしまって、時間を忘れて食い入るように集中しました。

中村東蔵が渚(老母の役)を演じてたんですが、とにかく名演で

グッと来て、涙もほろりという。

いい舞台でしたよ!



この渚という役ががんばらなければ、悲劇のヒロイン・錦祥女(きんしょうじょ)

演じる、坂田籐十郎の魅力も半減してしまうという。

地味なんだけど、とにかくすごい大切な役なんだなぁ、と痛感しました。



しかも渚は登場シーンの大半を緊縛されておりまして

老母なのに黄色の縄で緊縛されてる

というチグハグ感。

そしてまさに緊縛されたまま

命を捨てて体当たりで向かっていくところに、

母の情愛だけでなく、ディープな女のエロスまで

見え隠れする。



人形浄瑠璃/歌舞伎には

この手の「嬲り(なぶり)」の美学が散見されますね。



ただ、けっこうシュールな表現を含む舞台でして、

これ大丈夫なんだろうか・・・と思ってたことも事実(笑



黒子さんがでっかすぎるハマグリシギを持って登場し、

この両者がなぜか激闘する所を、團十郎演じる和藤内という若者が見てるんです



ハマグリがシギのくちばしをくわえ込んで

両者が睨み合ってるところを

「ややっ。これ兵法の妙なり」

とかなんとかいって、二つともゲットしてしまうんですね。

両雄が睨み合ってる所に虚を突いて入るのがポイントなんですって、兵法の。

しかし、和藤内さんやさしいので、デカいハマグリは海へ、シギは空に逃がしてやります



ちなみにシギという鳥↓ ミミズ食べてるっぽい



shigi.jpgその後、中国に渡るんですけど、そこでも竹林にいる虎を

素手でやっつけたり(笑

というか、その虎退治の時、

老母の渚が「天照大神…」とか書いた

木の札でバシバシ虎の頭を殴る
という

たいへんシュールな場面もございました。





團十郎さんはすごい。

こういうケレン味あるスケールのデカい

そして論理的に無理のある)役を

團十郎がやると、なにひとつ不自然を感じさせずに、バシッとカッコよくきまるんです!

なんでだろう。舞台での彼自身の存在感にすごいオーラがあるからだと思います。

ホントすごい歌舞伎俳優だと思いました。



国立劇場は二階ロビーにたくさん近代日本画の名画が掲げられてるんですけど

休憩時間にはそれを見ながらお寿司たべれるし、

歌舞伎の日は1日ハレの日、お祭りの日ってかんじです

その分、前日から体調管理に気を付けて挑んでるんですけどね!
by horiehiroki | 2010-11-10 03:17 | 観劇