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太ましいホトケ~「ひらがな日本美術史」

ずっと読もう、読もうとおもっていた

「ひらがな日本美術史」を最近、ひもといています。



haniwa.jpg埴輪がカワイイのは黒目がちな瞳ゆえ

って、かなり唐突な論考ではじまってて。

・・・っていうか、空白なだけで

白目かもしれないじゃん・・・

と埴輪と同じ目になりました









とかバカなことも考えつつ

これらが芸術新潮に連載されていたことを

思うと

「おっしゃ!! 今月も無事に書けた!!」って時がね。

あったりしてもね(遠い目)



ってこともなきにしもあらずですが(w、

楽しく拝読してます。








中でも橋本治さんのすばらしい考察のひとつに

日本文化は、筋肉質な肉体より、「太ましいカラダ」を

上位においている(おいていた?)というものがありました!



これは大変に示唆的な論考です。



たしかに筋ばってるのは仁王とか十二神将とかああいうクラスで、

彼らを「使ってる」クラスのホトケになると、みな一様に

貫禄たっぷりだよな、と。



日本のホトケは少年と、中年の肉体のどちらかしかなくて、

青年の場合がとても少ない気がします。

青年の筋肉はあまりに生々しい=煩悩で一杯だからなんでしょうか。



もっというと、筋張った肉体=男性そのものから、

上位の仏は脱却してるともいえるのかもしれません。

顔の大きさもやたらとデカくなってるし。

それにくらべると、
十二神将は7.5頭身くらいです。

現実的な理想化が計られてる気がします。

髪の毛がいわゆる「デカ盛り」になってますが。





一方で、インドのガンダーラ美術だと筋肉質なホトケがいる。

見てください↓の画像。薄い衣の上からでもガタイ系なのがわかります。





Gandara.jpgコレはギリシャ文化からの外面的な影響より、

脂肪より優れたモノとして筋肉を考える

価値観に、強く影響されてるんだろうなー、と。




なお、偶像崇拝を禁じていた仏教ですが、

ギリシャ美術に出会い、はじめて

仏像をつくりはじめます。





そして仏像の起源が、ガンダーラ美術(1世紀~5世紀)なのです

つまりマッチョ仏・・・



マッチョ仏(ブツ)が、日本に入る前の

中国でいわば「女体化」「中性化」されていったところに

なにか大事なキーが隠されているのかも。



たとえば観音様は男性でもなく女性でもない

超越した存在のはずなのに、悲母観音って中国で発明されて

日本にも伝わってますよね

しかし悲母観音は母なのにヒゲがあるという。

くわしく知りたい人は、狩野芳崖 悲母観音 で検索してみてください!

これは調べていく価値がありそうです。





参考1) ひぼ【悲母】

慈悲深い母。慈母。「―観音」



広辞苑第五版





参考2)
 ガンダーラ



パキスタン北東部、ペシャワール付近の地域の古名。

紀元前四世紀後半、アレクサンドロスの東征によりギリシア文化の影響を受ける。

さらに仏教の伝来により両者が融合し、西方風の仏教芸術が二、三世紀を中心に栄えた。

この文化は彫刻を主体とし仏像を初めて造り、

インド・中央アジア・中国の仏教美術に大きな影響を及ぼした。健駄羅。乾陀羅。



三省堂「大辞林」

by horiehiroki | 2011-02-09 00:48 | 読書