杉浦日向子『憩う言葉』

風邪がだいたい抜けたと思ったら、

今度は腰が不具合で

ホントまいったなぁという

昨今です。



さてイースト・プレスのMさんが

新刊本を送ってくれました。

それが「憩う言葉」と「粋に暮らす言葉」の

二冊です。





 






どちらにも杉浦日向子さんの名前がついてて、

「?」ってなったけど、杉浦さんのエッセイなどから

言葉を抽出した、本のもよう。

最近の流行りのスタイルですかね。

これってMさんの中では隠れシリーズみたいになってて

前に彼が作ったという、ニーチェの言葉をあつめた

箴言集みたいな本とかももらったんですけど、

それより、ずっと響いた。



(ごめん、ニーチェ)






(11日 補記)



ニーチェは別の方の作られたご本だそうです



 



”会社(イースト・プレス)としては
岡本太郎さんや中原淳一さんの言葉集などもありますし「隠れシリーズ」”

とのことで。






空白が多い本って、いかに文字にいい言葉を選べるか

という言葉のセレクトショップみたいなもんです。

この本の手腕は、なかなかに上手いと思う。

言葉と紙の空白に、読み手の想いが

満ちていくことを設計した装丁なので

その点でも良くできてると思います











どうですか、この蕎麦屋のくだり。



蕎麦屋って、現代でももっとも江戸的な場所だと

おもうんですよね。











自分など、ヤボの骨頂で生きてるから、

蕎麦屋など、何時入ったらいいかさえわかんない。



実家暮らしですと、わざわざ

ランチ!!と思って出かけるには「軽い」し、

別に夜遅くまで外で働くわけでもないから

ランチとディナーの間に食べるとモタれるから

食べないし、ディナーに蕎麦だけってのはわびしい。



みたいな感じです。自分にとって。



って書いてていかにヤボ人かということを

痛感してるわけですね。

ランチ!!とかチカラ入れて言ってる時点でヤボです。



23区内でくらしはじめて

もう人生の半分くらいになってきてますが、

やっぱり浸かった産湯が違うのは

ホントに大きな違いだな、と。



こちらの産の、江戸のヒト(現・東京のヒト)の我慢強さ、

他者へのやさしさには、驚くばかりです。



他人に優しい人って、自分が、自分が、自分が!!

というエゴの張り方していてはムリですよね。

やさしさはある種のあきらめ、

というと悪く聞こえるけど

よくもわるくも

「まー、こんなもんだ」という自足の感覚が、

他人へのやさしさになり、

自分の懐の深さにもつながってるのかなぁと思うのです。



自分みたいな関西産の子には

ちょっとあこがれても手を伸ばしてもとどかない

青空の雲みたいなものです



帯が糸井重里さんなんだけど

「杉浦日向子さんは笑いながら隠してたけど、

ほんとに江戸の町を生きてたんだと、ぼくは思う。」

と書いてる。



そういう人だったんだろうなぁ、と思います。



(後楽園の)春日町に以前、生きてたころは、

わたしは下級武士の生まれの女性で

地方の藩の重役の後添えの奥さんだったんじゃないか

という記憶の話は面白かったですね。



自分の場合、平安時代の本とか時々書いたりしてるのは

そのころ、「生きてた」とかとはまた別の問題か、と。



ただ、けっきょく平安時代の彼らが

自分と同じ、関西の子らの話だっていうところが

強いのかもね。



私はなんてあわれなんだろう!!

こんな人生のはずじゃなかった!!



とか嘆いてみせつつ、



(これを書き残すことで、一躍有名になれるかも知れない)



という、すけべ根性が関西の子らにはある。

出家しても、そんな性根は変わりません。



「あさましの御ことや」

とかいいつつ、その「あさましさ」がないと文化のカタチにすら

ならないんだもん。

貴族とか高貴さとかって精力ないと色んないみで

続けられません。カタチにしないといけない人々ですからね。



でも江戸の
粋(スイ)な生き方って



カタチにはまるとか、はまらないとかそれ以前に



カタチに残そうとしない生き方なんだろうなぁ



とかぼんやりと思いました



現に、江戸でも、ホントに粋な生き方をしてた人々は

無名のままです。



関西ではみんなに
妙ちくりんなプライドがあるから、

なにか書いて、キレイにまとめる。(都合の悪いこと=)

要らないことは書かない。



平安の美意識は

「うつくしく、やさしく、おろかなり」の

江戸の美意識とは正反対です。



上方を一言でいうと「欲」とか「贅」とか「奢」でしょう。

前のめり。

「はんなり」とかも結局、罠だしね。











うーん、深い。



杉浦さんいわく、関東は「色」なんだね。

ときどきドキッとする一面もあるけど、ほわーんとしてる。



明日を考えて、先回りして不幸になっていく必要はないですね。







by horiehiroki | 2011-05-10 01:18 | 読書