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「ボクは、詩で生きていく」~『ドキュメント20min.』

昨日は、友人がテレビの画面の中で仕事をしてるのを

初めて見ました。



それまでは生で喋ったりしてる声や姿しか

見たことがなかったので、ちょっと新鮮で

ちょっと不思議な印象ですね。



というか、友人=NHKの京都局で現在、アナウンサーをしてる

今道琢也さんのことなんですが、

彼がこの前、『ドキュメント20min.』というシリーズで

自分も名前と活動内容はなんとなく知ってた

京都のchori(チョリ)さんという詩人/アーティストの

番組を作られたんです。



それが「ボクは、詩で生きていく」です。



全国枠の放送で、5月16日に録画して、ようやく

見ることが出来たんですが、興味深かったです



(今道さんの仕事姿を見られたということだけでなく 笑)



choriさんはアーティストとして、ライブハウスで楽器の演奏にあわせ

自作の詩を朗読する、独自スタイルの詩人。









偶然なんですが1年くらい前の婦人画報の記事で、

詩をライブ形式で発表しつづけてる

裏千家の御曹司がいるというおぼろげな記憶があったところなんで

その人の番組を彼がつくるということを聞いたとき、

「お!」と思いましたね。



しかし、いくら雑誌の記事が良くできていても、choriさんの

声や空気感は、つたわりません。




見てない方に説明すると

フランス人のシャンソン歌手の「語り」の部分みたいなイメージに

一番ちかいかもしれませんね。



詩人choriさんの魅力は言葉えらびのセンスも、もちろんなんだけど

やっぱり声なんだと感じました



彼の声は、声を出すことを職業にしてる今道さんとも

全くちがういみで、不思議なくらいに心に響くタイプでしたね



あとビックラしたのが、choriさんって

自分の言葉の体力が凄い人なんだろうな、ということ。

音楽(しかも日本語)聞きながら、詩を書いていくんですよ



それ、自分には「えーっ」て声を出すくらい、かなりの衝撃のポイントでした(w



そこまでが前半。





ボクの心に一番訴えてきたのは後半部分でした



choriさんは千利休からかぞえて16代目の、しかも嫡男なんだそうです。

単に伝統ある古い家なら日本中にどこでもあります。

しかし裏千家という、今なお現役で社会的意義・文化的意義を持ち続ける

システムの頂点に立つべき存在でありながら、

彼は茶とはまったく関係ない(といってよいでしょう)

「詩」の世界に生きようとしている。

これはかなり異例といっていいと思います。

たんなる名家のボン/お嬢が

「変わったコト」やってるのとは質がちがうわけで。



またこの番組、趣向がちょっとイジワルで(笑

choriさんを和カフェみたいなところに連れて行って

抹茶を飲ませるんですね(w



相当、固まっておられましたけど。



でもその時、今道さんの問いかけにこたえて



なんだっけな、茶道関係その他には今はホントにノータッチだそうで



その理由を



「普通の人間ですから」



などという言い方をしてました



でも彼は

「普通の人間」として生きたいがために、

裏千家からは遠ざかったかのようにみえて

実はそうでもないんです。



自分で詩を書いてた今道さん(←やけに大人びた詩を書く少年だったみたい)

のリクエストで、彼は家族をテーマにした詩をはじめて、作るんですね。



その中には

利休さんの幼名にはじまり、祖父や父の名前が

読み込まれていて「ああ」と。



現在の彼は何かあったら茶道の家に戻ればいいやとはまったく

思ってないそうですが、その決断で家族や血縁から

きりはなされ、完全に孤独になったのではないし

それを望んだというわけでもないんですね



けっきょく、さっきも自分が描いたように



裏千家というシステムの頂点に立つべき存在であり「ながら」

彼は茶道とはまったく関係ない生き方を目指し・・・




という説明のされ方、理解のされ方しか、

なかなかされないとはおもうんです



でも、家
(一族)のルールやレールから

その人が外れたところで、

たとえばchoriさんは家元になるべくして生まれて

家元にはならなかったけど、それで結局、彼が

彼でなくなるわけではない。

その選択が真摯であれば、家族も受け入れないワケにもいかない。



(封建時代はすべてを押しつけれたから、

けっきょく厳格なようでいて、ホントは幼い価値観しかなかった

といえるかもね)



家(一族)のルールやレールから外れているひと、

多いとは思いますが(※自分もそうです 笑)

そういうヒトの家族や血縁に対する想いを

丁寧にさぐった作りで、あざとくないところが

よくディレクションされてるな、と思いました。




ーーーというところで、ボクが思いだしたのが

谷川俊太郎の詩です(choriさんのでなくてスイマセン





あなたは愛される

愛されることから逃れられない

たとえあなたがすべての人を憎むとしても

たとえあなたが人生を憎むとしても

あなたは降りしきる雨に愛される






これ、合唱曲になってて、それではじめてふれて

衝撃をうけた詩なんですけど。



まぁ、それはともかく・・・



choriさんの姿を見てると、

彼の16代前の千利休も

こういう風にヒトを、自分のやりたい道

(あの人も堺の商人の家にうまれながら、茶人になってったヒトですよね)

に巻き込んでいったんだろうなぁ、とか

利休の魅力ってやっぱりchoriさんと同じで声なんじゃないか、とか思って

しまったんですよねー



利休好みのわび茶では、客と主の距離がとてつもなく近いから

利休は自分の声と語りと所作で、客人をもてなし、自分の仕事の真価を

認めさせていったんだろうナァ・・・・・・とか、

あんまり実家と関連づけられたくないであろう

choriさんには迷惑な想像をけっこうしてしまいました(笑



そんな
choriさんがこれから、どうなっていくかも

興味ありますね。



そして、たぶんコレ、今道さん読んでくれるんでしょうけど

数ヶ月前だったかなぁ、1ヶ月くらい東京に出張して

かなり精魂込めて番組製作してたので、

よい番組だったヨー お疲れさまでございまする

とお伝えできたらいいですね。

by horiehiroki | 2011-06-19 07:55 | テレビ