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平清盛(28)~”デザイン”とツネムーふたたび

「うたもゑ」制作委員会(仮)のみなさんと八條忠基先生の事務所でたのしくお話をしてきました。

それで、いきおい「清盛」の衣裳の”デザイン”についての話題になりました。

生田さんの「源氏物語」の映画では、直衣などに、でーっかい刺繍と覚しき「何か」がほどこされたりしてて、ビックラしたんですよね。「貴族の服(装束)」には、刺繍を使わないです。

理由はハッキリとは不明ですが、美意識的な問題でしょうか。


貴族といっても、高貴な人のボディーガードである随身(ずいじん)とか、あとは舞楽のための衣裳には刺繍が使われるので、刺繍自体がなかったというワケではないのですけども。

女性の装束にみえる模様はすべて「織り」だけで表現します(刺繍の入った服は高いですが、織るのはさらに手間暇がかかるので高価になります。そういうこともあって、ある種の複雑な紋が入った服は高貴な人しか着てはいけない服でした)。


装束に刺繍してしまった、「あれ」にくらべると、清盛の衣服はひじょうに上手く”デザイン”されてるのは事実です。センスが感じられます。

しかし、こういう黒い服。

たぶん、フォーマルな時に着られてるので
衣冠もしくは束帯なんだろうと思われますが、なにか、足りない…。

って思ってたんですが、よくわかりました。

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建春門院という院号をもらった平滋子サンの眉毛がなくなくなり、
平家一門の貴公子たちを呼んで、酒の相手をせよ!!と冗談をいうシーンがありました。

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その時の画像なんですが、滋子さんの前に立ってる男性。

彼の足元みてください。裸足ですよね。

八條先生に教えてもらって、ようやく気付きました。

直衣を着てる時は裸足でOKなんだけど、束帯もしくは衣冠というフォーマル性のたかい服のときは、裸足ではないんですね。

束帯もしくは衣冠のときは、足袋的なものをはきます。

足袋っていっても、指が分かれてない、襪(しとうず)というものです。※検索してみてください

あと、後ろにたらしてる赤い何か。これは、据(きょ)というべきものを”デザイン”したものです。

いちおう平家なんでってことで、「赤」なんじゃーないかと思います。

実際は白とかなんじゃーないか、と。あともっと長い。はず。

だから、これも束帯的な何か。なんですね。

そもそも正式な束帯には帯的なサムシングを足らしたり、あと色いろと刀をさしたり(興味ある人は検索してみてください。仰々しくなるので、名称その他はかきません)決まりがたくさんたくさんあります。

で、そういう小物が、すさまじく高価なんですね。

その細い帯(ヒモ状のサムシング)一つで、1000万弱とか。


いくら毎回ン千万の予算で撮影されてる清盛とはいえ、実現は……ね(笑
それゆえの”デザイン”だとも思うのでございますな。

さらに、色々とわたくしがおもうに、いくら一門の人間とはいえ、平滋子さんは建春門院ですから、貴人です。
自分より身分が高い人の前に出る場合は、いったん座って、膝で歩いて近付きます。膝行(しっこう)ってやつです。

ぼくのばあい、うちの仏壇の前では膝行しますけど。現代では、あんまり日常的にはしない人のほうが、多い気がしますね。

そもそも、貴人は御簾の後ろに居るハズであって・・・・・・・とかいっていくと、現代の感覚から幾光年も離れてしまい、もはやドラマ自体がなりたたないのでございます(w

で、明るい所でみると、大迫力すぎるこの手のメイクなんですが・・・ ↓

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うすぐらいところで見ると、けっこう色っぽいのです。妖艶というか。


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そもそも貴人は御簾の奥にいるので、これでいいんですね。
逆に普通の人には出せない手合いの色っぽさを出すことができるわけです。
あと成海璃子さんは美人なんだなぁと思いました。
目鼻立ちがクッキリしてない人(不美人)の場合、この手のメイクをすると、見られた顔にはなりませんから。

古今東西、美の基準は変わったとかいうんですけど、それはメイクの話なんじゃないかと思います。
緯度とか経度が似てるエリアの場合、大陸の違いや時代の違いを乗り越えて美しさの基準は似てくるように僕は思います。

たとえば、四世紀のサラミスで、東方教会の大司教をつとめたエピファニウスが信者にむけ、聖母マリアがいかに美しかったかを語る、つぎのような言葉があります

「女性の中でもっとも美しい女性がマリアであった。
スタイルがよく、背は高すぎも低すぎもしない。身体はしろく、かたちが美しくて、欠点がない。
髪はながく、金色で、やわらかい。
かたちのよい額と細い茶色の眉の下に、程よい大きさの目が、サファイヤのような光を放っている。
目の中の白いところは乳白色でガラスのようにキラキラしている。
まっすぐな花、線のくっきりした薔薇色の唇は愛らしい(後略」

・・・文章を読んでると西洋の白人系美人女優って、こういうかんじだよね、と。

もっというと髪や目の色をのぞけば、日本の美人像もこんなんだよね。と。

さらにいうと、源氏物語で空蝉みたいな不美人にどうして恋をしてしまったの?と

思う光源氏の嘆きをかいつまんで紹介すると、若くもなければ、目鼻立ちがくっきりもしておらず…的な描写があるわけです。けっきょく似通ってくる。

美しさとは民族を越えて、かなり普遍的な要素なのかも・・・とおもわれるのでした。




・・・・・・・・で、今回も色々ありましたけど、ざっくり内容をハイライト。


(史実では、後白河に嫌がらせをしたりしてたので流罪になってた)ツネムーが帰ってきましたww

藤原経宗。ふじわらのつねむね。

さきほど装束(衣服)の話をしてましたが、そういう服に対する知識、着付け方、
振る舞い方その他をあわせて衣文道っていいます。

衣文道の支配的な家柄はもともと、藤原経宗が生まれた家、

もっというと大炊御門(おおいみかど)家にひきつがれていました。

ツネムーは「清盛」では藤原経宗という「本姓」をなのっとりますが、
当時すでに大炊御門家の弐代目です。


大炊御門経宗ってかいてある辞書の記事もあるかな。

大炊御門の御家といえば、西園寺などとならぶ、精華家のひとつ。
五摂家に次ぐ、格のかなり高いお家柄でございます

ただし衣文道(えもんどう)でいうと、大炊御門家は中世にはこのジャンルから撤退。
そこから枝分かれしたのが現在にまで引き継がれる高倉家・山科家の
衣文道でございます。



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今回は不発気味でしたが、これからの顔芸に期待です・・・!

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そして最近とみに「黒い」藤原成親さん。

権力者・貴人にはペコペコしておいて、「義弟」には「小物がッ」と言ったり。

クビ→復職→クビ。

平家を恨んでます、という設定でこの表情。※ヤンキーが眉毛を剃るという理由がよくわかります。

吉沢悠といえば、あの公家さん・・・とみなさんが末永く思い出すであろう
新境地ですね(w



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それで、重盛さんが平家の頭領になりきれてないって話でした。
たぶんガンでしょうか。ストレスにまけて重盛さんは早死にします。

なお、後白河さんは清盛とは抗争するんだけど重盛さんとその子どもが美男子だったので
史実的には、たいそう重用されておりました。

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「出家なう」


比叡山の荒法師どもに押されまくりの法皇様でございました


さて
・・・で、新著の「天皇愛」が20日、全国書店で発売されました。
アマゾンでもようやく販売開始みたいです。
よろしくおねがいしまーす

by horiehiroki | 2012-09-21 00:55 | 歴史・文化