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平清盛(31)~視聴率という「もののけ」


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◇◇◇堀江宏樹の新刊もよろしくおねがいしまーす◇◇◇

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百人一首 うたもゑ

(日本じゃ)世界三大美人なんていわれてる小野小町。でもずっとモテる、恋をし続けるということは、あるいみ「たったひとりの誰か」に出逢えてないってことなんです。平安時代、百人一首に収められた歌人たちの歌をベースに展開する、絵空事ではないリアルにして美麗な恋愛絵巻まんがですー。

藩擬人化まんが 葵学園


大河ドラマでもそうですけど、江戸時代はなぜ「ああいう社会」なのか? なんで現在でも県民性は「ああいう風」に存在してるのか? …みたいなことが漫画+文でザックリと理解できます☆

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体調不良からこっち、バタバタしています。今だに本復ならず。

さて、今回は趣向をかえまして、これまでの「清盛」を振り返り、その記念すべき視聴率を考察してみようかと思います。
このドラマ、身辺では熱心なファンがおりました。ぼくもけっこう好きでした。しかし、数字は低迷。
数字は、もののけでございます。

原因は清盛という有名なわりには私生活の部分が「謎の人物」を主人公にもってきたことにはじまり、それは色々あるんでしょうが。

「低視聴率なんだぜ!!」ということでしか、一般視聴者を呼び込めないというPR方法に落ち込んでいったことを考えると(それもドラマの最終回間際になると、まったく話題にすらならなくなるというジリ貧ぶり)、

清盛=低視聴率という記憶しか残らないのではないか・・・と危惧するわけです。

清盛はぼくが愛する平安文化をフィクションというかたちにせよ、興味深く料理して見せたドラマでしたから、多いに興味深かったんですけどねー。


さて。




第一回 2012年1月8日 ふたりの父 17.3%


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※いきなりセクシーなタマコ


第二回 2012年1月15日 無頼の高平太 17.8%

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※白河院いきなり死亡



第三回 2012年1月22日 源平の御曹司 17.2%

第四回 2012年1月29日 殿上の闇討ち 17.5%




比較的よいスタートでした。
史実では謎だらけのヤング清盛を、厨二病の少年として描くなど、巧みな演出(w

「王家」の呼称とか、
白河院とタマコさんのご乱行とか、
もののけみたいな摂関家のひとびとのビジュアルとか、
センセーショナルな話題となりうるニュースを投下。

ラストシーンすら「喜びに満ちた」表情で、荒野を馬でかけぬけていく、「江」のラスト。
向井理はよかったですけど、そのハッピー呆けした緊迫感のなさとは対照的で、良くも悪くもなかなかよいインパクトがありました。

つづいて数字についてです。

テーマが何であれ、いちおうは見てみる。
大河ドラマだから…と言えるお客さん。
それがブランドが持つ視聴層です。

潜在的に人口の10~15%弱はいるのだとぼくは推測します。

それにプラスされる数%~5、6%ほどが、
大河には興味はあまりないが、「出演者のファンだから見る」(B)という、
大河ドラマ「だから」見るという層(A)に比べるとじゃっかん弱い視聴者層となりますね。

そして「視聴率が高いから見る」という(C)。これはホントにミズモノのお客です。

「江」「龍馬伝」の視聴率と比較しても同じことがいえるかと思います。

しかしドラマ自体が盛り上がってもAの層が減ってしまってると、視聴率は、現状回復が一杯一杯で、あがらない。

数字が中だるみする、どうしようもないというのが、「龍馬伝」の第二部とか、「江」の中間部から見ても言えるかと思います。

しかし、Bの層はドラマではなく出演者を主に見てるので、ある程度まで続けてみるだけの耐性がついていれば、途中で「捨てる」ということがあまりないのですが。




第五回 2012年2月5日 海賊討伐 16.0%


第六回 2012年2月12日 西海の海賊王 13.3%


「ネタ」として、よくも悪くも、もりあがった気がします。


第七回 2012年2月19日 光らない君 14.4%

第八回 2012年2月26日 宋銭と内大臣 15.0%



ここらへんは敵・味方がハッキリとわかれており、旧勢力にたいして成り上がろうとする新興勢力・平家というわかりやすい構図で魅せました。

さらに7回の源氏物語の引用、8回以降に登場した「台記」を残した頼長のキャラ作り、セリフなど、史実(データ)と創造&想像をたくみに折り合わせた魅力的なドラマを作っていたと思います。


第九回 2012年3月4日 ふたりのはみだし者 13.4%

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第十回 2012年3月11日 義清散る 14.7%

第十一回 2012年3月18日 もののけの涙  13.2%

第十二回 2012年3月25日 宿命の再会 ラ 12.6%

第十三回 2012年4月1日 祇園闘乱事件 11.3%

第十四回 2012年4月8日 家盛決起 - 13.7%

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第十五回 2012年4月15日 嵐の中の一門 12.7%

第十六回 2012年4月22日 さらば父上 11.3%

第十七回 2012年4月29日 平氏の棟梁 13.9%

第十八回 2012年5月6日 誕生、後白河帝 13.5%

第十九回 2012年5月13日 鳥羽院の遺言 14.7%



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怪演で「清盛」をひっぱってきた三上さん演じる鳥羽院の死が、視聴率における巨大なターニングポイントとなっていたのは確実です!

最近の大河(龍馬伝、以降?)に出てくる○○部という区切り、あるいは、それを匂わせるようなイベントをすると、視聴者の中で「もうここらへんでいいや」と試聴に区切りがついてしまう傾向は顕著です。むしろ危ない。

清盛の場合、鳥羽院の死で泣かせると共に、ドラマは保元の乱にむけ、もりあがってきてた記憶がありますが、ドラマの盛り上がりは視聴率に、ほぼ影響しないという事実が如実に伺えます。

最近の視聴者はドラマではなく、キャラを見ている。ぎゃくにいうとキャラしか見ることができていないという、ドラマの作り手側とすれば、非常にはがゆい状態かもしれません。

つまり数字を取ろうとするのであれば、大河はドラマでいうより、大河キャラ図鑑であるべきなんでしょうねー。

おもえば、NHKのドラマで好調だったとされる「梅ちゃん先生」はドラマというより、キャラ図鑑だった。ドラマとしてのドラマ(「カーネーション」)より、梅ちゃんが強かったことを考えると、キャラ図鑑はドラマ作りのひとつの柱として言えるとおもいます。

さらに「清盛」の場合、鳥羽院や、頼長さん、後白河さん、そして禿といったエキセントリックな演技・ビジュアルのキャラの登場の瞬間に数字が上昇する傾向が多いにありました。

というか、他のドラマより強い傾向を示しました。

本日10日、再来年の大河は岡田准一演じる黒田官兵衛の話になりますが、こちらも戦国キャラ図鑑にしていくべき、なのかもしれませんな。「偉大なるイロモノ」になれ、ということでしょうか。

目薬大名・黒田。




第二十回 2012年5月20日 前夜の決断 11.8%

第二十一回 2012年5月27日 保元の乱10.2%

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第二十二回 2012年6月3日 勝利の代償 11.0%

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第二十三回 2012年6月10日 叔父を斬る 11.6%

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第二十四回 2012年6月17日 清盛の大一番 12.1%

第二十五回 2012年6月24日 見果てぬ夢 10.1%

第二十六回 2012年7月1日 平治の乱 13.2%

第二十七回 2012年7月8日 宿命の対決   11.7%

第二十八回 2012年7月15日 友の子、友の妻 11.2%



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保元の乱ー平治の乱はこのドラマのコアとなるべき部分でした。

鳥羽院の死までの、エキセントリックな色恋絵巻+「カムイ伝」ばりの階級闘争のドラマとしての清盛はなくなり、武士としての清盛が描かれることに。


しかし残念なことに、武士としての清盛は、たとえば戦国時代とか幕末の武士という視聴者の考える武士とはやはりまったく違うわけです。プロトタイプとしての武士ですから。

「清盛」というドラマの独自性は消えていった気がしますが、脚本はもちろん「作品」としてなかなか頑張った、いい展開が続いていたような気がします。


第二十九回 2012年7月22日 滋子の婚礼 10.7%

第三十回 2012年7月29日 平家納経  11.4%

第三十一回 2012年8月5日 伊豆の流人 7.8% 


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このあたりから、平家の貴族化がすすみ、平安時代の文化を紹介するような色彩が強くなります。しかし前半部のような「カムイ伝」的色彩に欠けるため、平安時代が好きな人にしか受けなかったのかも。

そして大河史上初の「一桁」を記録した、問題の第31回は、日本勢大活躍のオリンピックとモロに被った視聴率。

しかし、これも第三部の開始だったことを考えると、ここからニューシーズンでっせ!というアピールは既存の視聴者層が離れるための口実を与える、不利にしか働かない条件のような気がします。
それでも○部制にしていのであれば、ここのタイミングで強力な、魅力的なイロモノのキャラを投下するべきなんだと思いますね。


第三十二回 2012年8月19日 百日の太政大臣 10.7%


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※松田聖子ディナーショー開催

第三十三回 2012年8月26日 清盛、五十の宴 9.3%

第三十四回 2012年9月2日 白河院の伝言 11.1%

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※清盛君重病につき、最初期メンバー、いきなりの再登場

第三十五回 2012年9月9日 わが都、福原 10.5%

第三十六回 2012年9月16日 巨人の影 10.1%

第三十七回 2012年9月23日 殿下乗合事件 10.5%

第三十八回 2012年9月30日 平家にあらずんば人にあらず 14.3%

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話題すぎる禿

第三十九回 2012年10月7日 兎丸無念 9.7%


清盛さんが現役をしりぞき、ドラマと平家自体が停滞を如実に見せはじめた、というのが今日このごろ頃です。

これくらいの数字こそ、平安時代の文化(をリメイクしたものにせよ、平安という時代)に興味がある層といえると思いますね。

歴史ファンの中でも戦国とか幕末は鉄壁なんですけど、それ以外の時代に興味をもつ層は少ないです。サラリーマン社会だからですかね…。

三十八回が高視聴率を記録したのは、NHKを見ているとながれる番宣での「平家にあらずんば…」というセリフの有名さもあったでしょうし、異形の禿軍団の登場のインパクトも強かったと思います。

このあたりになると、清盛の潜在的な視聴者層は、AとBの両方の層で10%までに減少。視聴率がひくいから見てみるという、C層のいわば逆版のお客も、もはやいなくなりました。

お客をよべるような濃いキャラ&演技者さんがつぎつぎと消えていくなかで、どう最終回まで乗り切れるか?というお話になってまいりましたな。

Bについては、そうですね。今、過去の写真を「イメージ」で色々貼り付けてみたんですが、ほとんどのヒトがもう出演していません。さらに、現在では、個人的にはBの層よりAが減りつつある?という感覚があります。

逆に言うと、これにマイナス数%した数字が、現在の大河ドラマというブランド自体がもつファンの数ということになるといえますかね。


みずからネガキャンを展開、じつは面白いとしってもらい、集客につなげようとした努力は独創的ではありました。そして、それゆえに清盛、ひいては平安文化のファンになったヒトもたくさんいてくれました。


ちなみに、こちらの「清盛通信」、えんえんと書いてきましたが現時点での”瞬間最高来場記録”の記事は、

文句なしで前回の「禿」です。


一晩だけで400人以上来場者があるという日もあったよ!

こんな細々としたブログに!

ちなみに「江」のときは、こういうことは一切ナシ。

「清盛」のファンは、相当にマニアックな日本人であるといいかえることもできますね。

そして、検索→うちのブログに来てくれる清盛のファンは知りたいという気持ちが強いヒトたちでした。
つまり、作り手にたいして反応を返してくれるひとたち。
実はめったにいません。こういうヒトたちは。

清盛はコンテンツとして大変に成功した作品だったんです。



・・・ということで、兎丸無念のレビューはまたそのうち。
by horiehiroki | 2012-10-10 23:45 | 大河ドラマ