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12月の読書

○小川剛生「足利義満」中公新書

1971年生まれの、研究者としてはかなり若い世代に属する著者さんなのですが、若き日の義満が花に喩えられたとか、世阿弥とのラブアフェアのことなどはあくまでサラッとしか出てこない硬派な新書になっていますです(笑 

ただし、義満の稚児のわがままぶりなどは出てきますので、ご安心ください(?)

「天皇愛」の義満と(同い年の)後円融天皇の話でも書きましたが、実際に、この二人は女性(厳子)を共有していたのでは…というところとか、チャレンジングで面白いトピックがとつぜん、チラホラでてきます(P90 など)。

僕は「小説家○○の説ですが」とか、圧力かけられて入れられましたけど。

義満さんが若い頃世話になった、裏のドンみたいな女性や、そもそも北朝の女性観は奔放な女でもOKだったという指摘もフムフムと面白かったです(笑


208ページなどでは、義満が「皇位を奪おうとしていた」というスキャンダラスな「通説」に対して、そうではないんだと書いておられます。

義満にはこの著者さんも散々書いてたように「法皇きどり(223ページ)」なところは多々あったのは事実。一方で、次の天皇の位は現職の天皇の血から派生するもので、上皇・法皇からではない、という事実も強調してますね。


ただし、御所よりも北に、何を隠そう、義満が「北山第」をつくり、それが今の鹿苑寺(金閣)の礎になった事実を考えると…

天皇のおわす御所の北に、治天の君/法皇気取りの義満が自分の住まいを作るということは……かなり意欲的な行為だと思います。東洋文化圏では、伝統的に権力者は都の北に住みます。日本でも都の北に御所はあります。北山第は、そのさらに北ですからね。

ほかには日宋貿易で、日本国王と義満が名乗ったのも交渉を成立させるためのあくまで便宜的なものであり、言外にぼくが感じ取るかぎりでは、よくは理解せず、意識もしていなかった。だから2回断られた宋との通商要請も、前回、前々回の失敗を正すこともなく、三度目のチャレンジで(偶然のように)OKが出た。

(日宋貿易開始工作は)
明側の事情によってたまたま成功
した(226ページ)」なーんて記述が。


しかも、義満は中国から来た使者も平服にちかい格好で迎えてしまった(ホントはすごい礼を尽くすべきだったのに)、というような描かれ方がされています。

ここらへんについては、僕なりに考えるところはありますが、フムフムと思って読めました。

徳川もそうだけれど、室町幕府の将軍たちは公武の長として動いてるところが多々あって、そのあたりと帝・朝廷のあり方の兼ね合いは興味深いのです。


○「朝日おとなの学びなおし 江戸時代ー武家政治VS庶民文化」


武家政治と庶民文化・・・の対立について書いてあるわけじゃないんですが、
ヒット歌舞伎から見る、江戸時代と幕府の対応の本です。
この前、勘三郎さんが亡くなられましたが、その先祖が火事を出してる・・・とか
わりとそういうニッチなところも楽しいです。

by horiehiroki | 2012-12-14 21:50 | 読書