昨日、村上春樹の短編集『女のいない男たち』を読み終えました。
あまりよいムラカミ読者とはいえない自分ですが(「色彩をもたない」~は未読)、本作には他とは違う点がたくさんありますね。そして短編小説集なんですが、あきらかに全体をつらぬく「流れ」がありますね。
一読すればそれらは一目瞭然なので特に書きませんが
(とはいえ、羊男など「寓意的登場人物」が存在しないムラカミ作品はかなりハードボイルドでドライな印象です、とは書いておきますが)
ムラカミ描くところの「僕」たちはみなその微温性ゆえに「女を去らせてしまう」存在であるだけでなく、彼らは「女のいない男たち」でもあった……という事実にも(逆から見れば当然なんですが)あらためて驚かされました。
長いこと、村上さんの小説は読んでいますが(かれこれ20年)、こんな直接的なムラカミ男子を見るのは驚きのひと言。
初めてな気がして、読了後、だんだん酷くなってくる眩暈のようなものを感じています。
(以下の10行ほどはたぶん、ねたばれ。読みたい人だけ、文字色を反転させてどうぞ。)
村上春樹の主人公の「僕」、あの超微温的な存在が「本当は、傷ついていた」という自分の真の気持ちを自分で認めてしまう、なんて展開、予測したことあります?